半順序集合(poset)
- 定義(2項関係)
- 集合 A 上の2項関係Rとは、Aの直積集合 の部分集合
を言う。 をxRyとも書く。
- 定義(半順序集合)
- 集合P上の半順序関係(partial order relation)とは、P上の2項関係 であって以下を満たすものを言う。
- (反射律)
- (反対称律) かつ ならば
- (推移律) かつ ならば
半順序関係を備えた集合Pを半順序集合(partially ordered set, poset, ポセット)という。半順序集合 P を半順序関係を明示する形で
とも書くことがある。
(半順序集合に関する各種用語)
- かつ のとき、
- 2つの元 が比較可能であるとは、 または が成り立つことをいう。比較可能でないときは、比較不能という。
- 全順序集合(totally ordered set)とは、任意の2元が比較可能である半順序集合を言う。
- 半順序集合
の最大元とは、任意の元 y に対して、 となる元 x を言い、通常1で表す。
- 半順序集合
の最小元とは、任意の元 y に対して、 となる元 x を言い、通常0で表す。
- 半順序集合
の極大元とは、 となる y が存在しないような元 x を言う。
- 半順序集合
の極小元とは、 となる y が存在しないような元 x を言う。
最大/最小/極大/極小元は,一般に存在するとは限らない
- 定義(区間)
- 半順序集合の任意の部分集合は同じ半順序関係によってまた1つの半順序集合と考えられる。半順序集合
において、a ⊑ b であるとき、部分集合 { x ∈ P | a ⊑ x ⊑ b } は最大元 b と最小元 a をもつ半順序集合である。これを区間(interval)といい、[a,b]で表す。
- 定義(鎖)
- 半順序集合
の鎖(chain)とは、部分集合 C であって、その任意の2元が比較可能なものを言う。すなわち、鎖は全順序集合である。|C| - 1 を鎖の長さという。
- 定義(半順序集合のイデアル、フィルタ)
- 半順序集合
のイデアルとは、部分集合 I で x ⊑ y ∈ P ならば x ∈ P となるものを言う。ある元 x に対して y ⊑ x となる y 全体はイデアルとなるがこれを x の主イデアルという。半順序集合
のフィルタとは、部分集合 F で x ∈ F で x ⊑ y ならば y ∈ P となるものを言う。ある元 x に対して x ⊑ y となる y 全体はフィルタとなるが、これを x の主フィルタという。
参考:数理情報学のための束論